英語の文章はそこそこ読めるし、英語リスニング対策に買った「聞き流し教材」もほとんど暗記できている。それなのに、いざ英語での会話になるとやっぱり「聞き取り」に苦労する。そんな方は、英語でのリスニングスキルを上達させる方法を『間違ってしまっている』かもしれません。
リスニングを向上させるためには、とにかくたくさん英語を聞くことが大事だと思うでしょうか? ですが、ただ単に英語を繰り返し聞くだけでリスニングは向上しません。リスニングスキルを上達させるには、まずは「英語の聞き取りのコツ」を知り、そのコツを習得するための「正しい練習」が必要なのです。
- 英語のリスニングは 「量」 では上達しない
- まず 「英語での聞き取りのコツ」 を掴もう
- コツを習得するには 「正しく練習」 しよう
それでは、その「英語の聞き取りのコツ」とは、何でしょうか? 英語のリスニングスキルを向上させたいと考えている方は、本記事で紹介する「おすすめの英語リスニング上達法」を実践する前に、まずはしっかりとコツを理解しましょう(コツを知れば、日々の英語学習だけでも効果的にリスニングが上達します)。
英語リスニング 「聞き取り」 のコツ
英語のスピーチや会話をしっかりと聞き取れるようになるには、次の4つのポイントがあります。
(1) 英語の「文法構造」に慣れる
(2) 英語の「スピード」に慣れる
(3) 英語の「発音」に慣れる
(4) 意味を「英語のまま」理解する
この4つができていないと、リスニング教材やポッドキャストなどで英語をたくさん聞いても「聞き取り」は上達しません。それでは早速、4つのポイントそれぞれの「聞き取りのコツ」を抑えていきましょう。
英語リスニングのコツ①英語の 「文法構造」 に慣れる
まず、皆さまも良くご存知のとおり、英語と日本語は「文法構造」が大きく異なります。英語のリスニングで日本人の多くの英語初心者がつまづいてしまうポイントの1つめはここです。英語と日本語で文法構造が違うことは知っていても、その「日本語と違う英語の文法構造」に慣れていないせいで、耳から入ってくる英語が「途中から急に」聞き取れなくなってしまうのです。
例えば、誰かがあなたに次のようなことを言い始めたとします。このとき、英語の文法構造のままで理解するための「聞き取りのコツ」は、下の日本語のイメージで「前から順に自分目線で解釈」していくことです。
- I know you’ve been having a hard time.
- この人知ってる / 私が / ずっと / 大変だった
翻訳のようにわざわざ日本語の文に組み立てなくても、断片だけで意味は分かりますよね? その感覚です!
もしこれを正しい日本語にするなら下の訳が自然ですが、上のように前から順に解釈しながら聞き取る場合と 「聞き取りの速さ」 を比べてみてください。翻訳をしていると次を聞く準備が間に合わないと分かるでしょう。
- I know you’ve been having a hard time.
- あなたが最近大変だったことは知っています。
つまり英語のリスニングの最初のコツは、目の前で話されている内容を「そのままリアルタイム」で理解することです。英語を聞くときは、英語の文法構造のまま「I know → この人知ってる」「you → 私が」と素早く前から順に解釈し、それを文節単位で細かく繰り返して 「繋げながら」 聞いていく感覚ですね。
英語リスニングのコツ②英語の 「スピード」 に慣れる
英語をしっかりと聞き取るための2つめのコツは、英語の「自然なスピード」に十分に慣れることです。
日本人が「英語はそこそこ読める」「単語もたくさん知っている」のに『聞き取り』だけ苦手に感じてしまう理由は、ただ『普通の英会話レベルのスピードで英語を処理する能力』が身に付いていないからで、とにかくまずは「自分自身が早口で英語を読める・話せるレベル」になる必要があります。
単語ごとに途切れてしまうような読み方・話し方しかできないのであれば、自然なスピードの英語を聞き取れなくて当たり前です。逆に、早口で英語を読めて話せる方は、リスニングで困ることはありません。つまづくとすれば、語彙不足やコミュニケーション能力の不足といった別の部分のはずです。
少し話がそれましたが、英語の自然なスピードに慣れるためのコツは主に3つあります。まず次の3つのコツを意識して、英語の早口練習をしてみましょう。
- I’m や you’re などの省略形を基本とする
- つまる音 (日本語でいう 「っ」 ) は極端に短く
- 単語終わりの子音と次の単語の母音を繋げる
例えば、次の英文を早口で読んでみましょう。上記のコツを理解できるはずです。
- I know you’ve been having a hard time…
- アイノゥユーヴィンハヴィンガハードゥタァイム…
- Why wouldn’t you take a bit of holiday?
- ワィウドゥンチュテイカビトォヴオリデイ?
始めはカタカナの部分を見ながらでも良いので、これを早口で言えるようになってください。慣れてくると、どんな英文でも「上の例と同じようなスピード」で読んだり話したりできてきます。なお、自分でカタカナを書いてみるときも「単語と単語の間には空白を置かない」ようにしてください。
英語リスニングのコツ③英語の 「発音」 に慣れる
3つ目のコツは、カタカナ英語を卒業し、日本語にはない英語の「独特な発音」に慣れることです。さきほどカタカナを使った英語の早口練習をしましたが、もう1度この例文を見てみましょう。
- Why wouldn’t you take a bit of holiday?
- ワィウドゥンチュテイカビトォヴオリデイ?
こちらの例文では、カタカナで「なるべく英語に近い発音」を紹介しましたが、やはり完璧ではありません。それは、英語には日本語にはない「独特な発音」がたくさんあるからです。カタカナだけでは、すべてを表現することはできません。
例えば、wouldn’t の始めの音は正確にはカタカナの「ウ」ではありません。また、holiday の発音を「オ」で始めている理由も、文中の h で始まる単語は「h」があまり聞こえないからです。
次の文は、文中の「h」がほとんど聞こえなくなる例なので、もっと分かりやすいですね。
- I already told him.
- アィオゥレディトォルディム.
英語には、他にも「th」や「si」の発音、さらに「rとlの違い」など、日本人を悩ませる「独特な発音」があることは事実です。ですが、重要なポイントさえいくつか慣れてしまえば、あとは怖くありません。こういった日本語にはない「音のルール」を自分で使いこなせるようになれば、耳も自然とそれに慣れてくれます。
リスニング練習の前に、こういった部分をしっかりと理解しておくことが重要なコツなのです。そうすれば、あなたのリスニングスキルもずっと効率よく向上させることができます。
英語リスニングのコツ④意味を 「英語のまま」 理解する
英語を上手に聞き取るための最後のコツは、日本語で考えず「英語のイメージのまま」で理解することです。
英単語にはたくさんの意味があったりしますので、その日本語訳を全部暗記するのは無理があります。単語はフレーズやイディオムでざっくりと理解するようにし、自分自身の体験にも紐付けながら「イメージ」できることが大切です。英単語は日本語訳で覚えてはいけないということですね。
英語を英語のままイメージするスキルの基礎を身につけるには、以下の書籍もおすすめです。
以下は比較的 「英語のまま」 理解しやすい文ではないでしょうか。今回カタカナの発音例は書きませんので、ご自身でなるべく早口で読んでみてください (発音を繋げるべき部分には下線を引いておきました) 。
Shh, look at that blonde guy out there wearing a blue shirt and pink short trousers. Haven’t we seen him somewhere before?
もし「英語のまま」イメージできない英単語やフレーズがある場合は、英語で調べてみましょう。
- 単語 + meaning (意味) で検索する
- 単語 + usage / how to use (使い方) で検索する
- 名詞なら 「画像の検索結果」 を見てみる
意味を日本語で検索する癖がついてしまっていると、やはり英語はなかなか上達しません。でも英語で見たり見ながら聞いたりすることを繰り返すと、その単語やフレーズを「英語のまま理解」 できるようになります。
これからは、英語は 「英語のまま」 で調べて、「英語のまま」 で理解するよう習慣づけていきましょう。
4つの 「英語の聞き取りのコツ」 を理解できたら、英語のリスニングスキルが実際に上達しそうな実感を持てたはずです!
次では、それぞれのコツを効率よく習得できる 「おすすめの上達法」 を紹介していきます。
コツを実践!英語リスニング上達法
では、リスニングスキルを上達させるための具体的な練習法をお教えしていきます。お伝えした4つのコツをしっかり理解できていることが前提ですが、ここにある練習法を実践すれば、あなたはもう英語リスニングで困ることはなくなるはずです。英語の理解を早くする「正しい練習」でリスニングを上達させましょう。
コツ① 「英語の文法構造」 に慣れる方法 「スラッシュリーディングで速読」 しよう
英語と日本語では「文法構造」が違うことは述べました。リスニングの場合、話を聞き終えるまで待ってからようやく「聞いた文」を理解しようとするのでは間に合いませんから、先頭から「英語の文法構造のまま」で解釈していく必要があるのです。では、どうすれば英語の文法構造に慣れられるでしょうか?
この能力を鍛えるためには、スラッシュリーディングで速読する方法がおすすめです。目に入る英文を細かくスラッシュで区切っていきながら、翻訳するのではなく「解釈」していく感覚を身に付けましょう。初心者の方は、小学生向けの簡単な本などから始めても構いません。
とにかく、英語の文を先頭から素早く理解できる能力を鍛えましょう。
このトレーニングに慣れてくると、スラッシュで区切らなくてもスラスラ読めるようになってくるはずです。ただし、この練習法ばかり実践するのではなく、この先の練習法も組み合わせましょう。
コツ② 「英語のスピード」 に慣れる方法 「早口スピーキング」 の練習をしよう
こちらは、英語の自然なスピードに慣れるための練習ですね。始めは「かんたんな英会話フレーズ」を使ってとにかく「自分自身が早口でスピーキングできる」ように練習しましょう。そうすることで、これまで早いと感じていたスピードに慣れ、リスニングで「早くて聞き取れない」といったことがなくなります。
中級者から上級者の方も、インターネットを使って英語のダイアログを探してみましょう。英会話オンライン編集部がおすすめのサイトは「Agendaweb: Listening – Practical English conversations」です。たくさんの実用的なダイアログが音声付きで用意されており、1つのシチュエーションにつき少しずつ異なる3つの会話がバリエーションとして提供されています。無料ですので、ぜひ上手に活用してください。
コツ③ 「英語独特の発音」 に慣れる方法 英語上級者の発音を 「真似」 しよう
リスニング教材や、他のリスニング上達法をまとめた記事などでは、よく「英語ネイティブの発音」を聞いて真似ることがアドバイスされています。しかし、世の中には非ネイティブの英語上級者もたくさんいますね。ネイティブの人だけではなく、非ネイティブの英語を聞くチャンスも積極的に増やしましょう。
むしろ、英語ネイティブではない「英語上級者」の人の英語の方が、上手い部分と下手な部分がよく分かり、より勉強になる場合があります。アジア出身の人、中東出身の人、ヨーロッパ出身の人、アフリカ出身の人、もちろん日本出身の人でも構いません。
身の回りにいる英語上級者にレッスンをお願いするのも良いですし、オンライン英会話サークルなどで様々なバックグラウンドを持つ人たちと話してみるのも良いでしょう。
コツ④ 「英語で理解すること」 に慣れる方法 英語の字幕を表示して動画を見よう
英語で聞いて英語のまま理解するための練習法としては、英語の動画を「英語の字幕を表示して」見る方法がおすすめです。YouTube や TED など、英語の字幕を表示できるサイトは数多くありますので、自分が好きなジャンルの動画を活用しながら「英語のまま意味を把握する」習慣をつけましょう。
また、英語に触れる時間を1日1時間以上しっかりと確保したい方は、英語で長編ドキュメンタリーを見たり、英語で世界経済のニュースを毎日見たりすると良いでしょう。
リスニング力を劇的に伸ばす!英語に触れる機会も増やそう
英語の聞き取り能力を劇的に向上させたければ、日常的に英語に触れる機会をもっともっとたくさん作りたいところです。聞き取りのコツを掴めば、英語に触れることが楽しくなりますからね!
英会話オンライン編集部がぜひおすすめしたい方法は次の4つです。英会話は 「リスニングスキル」 に加えて 「対人コミュニケーションスキル」 も必要ですから、ぜひ積極的にチャレンジしてください。
- 英語で話せる人を増やす
- 英語で考える癖をつける
- 英会話レッスンを受ける
- 英語初心者と英語で話す
中・上級者にもなれば、過去の自分と同じような「英語を勉強中の初心者の方」に英語を話す機会を提供すること (上の4つ目) もできます。日本人同士で英語を話す機会を積極的に作る人が増えれば、これから日本にも「英語を話せる人」がどんどん増えていくでしょう!
英語初心者の方も、日本人の英語上級者と話すことを決して恥ずかしがらないようにしましょう。
英語リスニング 「聞き取り」 上達への道4つのコツを抑えた上達法まとめ
今回は、日本人の英語学習者がつまづきやすい「英語の聞き取り」についてのコツ、英語リスニングスキルを向上させるための上達法を解説しました。さらっと簡単におさらいをしてみます。
英語を 「聞き取る」 4つのコツ
まずは、あらためて英語の「文法構造」に慣れましょう。これができないと始まりません。そのうえで、次に「スピード」や「発音」にも慣れ、シーンを 「英語のまま」 イメージできるようにしていきます。
- 英語の 「文法構造」 のまま順に解釈する
- 英語の 「スピード」 に自分も慣れる
- 英語の 「独特な発音」 に慣れる
- 意味は 「英語のまま」 イメージする
ただし最も肝心なことは、やはり英語の「文法構造」のままでリアルタイムに解釈していくことでしょう。
コツを実践したリスニングで上達
リスニングを劇的に上達させるための方法は、単にたくさん英語を聞くことではありませんでしたね。時間を掛けても良いので、まずは上記4つの「コツ」をしっかりと習得してください。
英語「聞き取り」のコツをしっかりとマスターするためには、スラッシュリーディングによる速読や、早口でスピーキングをする練習も取り入れましょう。そして、英語上級者の発音を真似ながら、英語の字幕をつけて英語の動画を見る方法がおすすめです。これを日常的にしていきましょう。
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英語リスニングはこれで攻略
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記事の途中で紹介したリンクにも、今回ご紹介したコツを実践するためのノウハウが詰まっています。コツを習得できるまで何度も読み返しながら、ぜひ合わせて参考にしてください。