日本語の「追いかける」「追いつく」「追い越す」はすべて「追い」で始まる言葉ですが、英語ではどう言うのでしょう? また、逆の立場からみた「追いかけられる」「追いつかれる」「追い越される」についても、ネイティブみたいに英語で表現できるようになりたいですよね。
今回は、英語で「夢を追いかける」「追いかけられる立ち場」「同点に追いつく」「ライバルに追いつかれる」「前の車を追い越す」「中国に追い越された」などを言うためのフレーズを紹介します。
chase/run after/follow etc.1. 追いかけるの英語表現
まず「追いかける」を英語で表現するときに最もよく使われるのは chase と run after です。
- Chase your dreams!
- 夢を追いかけて!
chase は物理的に車や人などを追いかけるといった使い方だけでなく、夢や異性、利益を追い求めるといったシュチュエーションでも使えます。run after は文字通り「~の後ろを走る」という言葉から来ています。
追いかける対象が人や動物の場合は chase と run after どちらでも使えますが「走って追いかける」という文字通りのシチュエーションでは run after を使うとイメージしやすいでしょう。また状況によって run は別の動詞に置き換えて go after, come after と言ったり chase after と言うこともあります。
次の例文では、追いかけるの過去形の「追いかけた」の英語なので chased か ran after を使います。
- I chased/ran after the criminal.
- 私は犯人を追いかけた。
もし「追いかけている」という様子を表現したい場合は、動詞を進行形にしましょう。
- He is always chasing girls.
- 彼はいつも女の子を追いかけている。
chase/run after だけじゃない !その他の「追いかける」の英語表現
英会話でよく使う「追いかける」の英語表現として chase と run after を紹介しましたが、実は、日本語の「追いかける」のニュアンスを英語にするには、他の単語やフレーズで表現する方が自然な場合もあります。
★ Pursue のニュアンス
例えば、フォーマルな場面で「追いかける」を表現することが多い単語に pursue があります。ニュアンスで日本語の訳は「追求する・追い求める」とすることが多いです。人や物に対しても使えますが、以下の例文のように「夢、仕事、目標」といった抽象的な概念に対してよく使われます。
- Everyone should pursue hapiness.
- 誰もが幸せを追い求めるべきだ。
- Why don’t you pursue your dream career?
- どうして理想のキャリアを追い求めないのですか?
★ Follow のニュアンス
次に紹介したいのは follow です。ただし、この follow は「(対象物の)あとをついていく」という意味になるので「 (追いかけて) 捕まえたい / 追いつきたい / 追い越したい」というニュアンスはなくなります。
- The children always love to follow their fathers.
- 子供たちはいつも父親の後を追いかけるのが大好きだ。
- He follows news about education.
- 彼は教育に関するニュースを追いかけている。
また「夢を追いかける」の英語表現で “follow one’s dreams” もよく使われますが、実は chase を使って “chase one’s dreams” と言う方が「より積極的に夢を追いかけている」ニュアンスになります。
- Don’t just follow your dreams, chase them and make them come true.
- ただ夢を追いかけるだけじゃなくて、必死で追いかけて、それを実現させなさい。
瞬時に言い換えられるかがポイント!「追いかけられる」の英語は?
ここで「追いかける」の受け身表現である「追いかけられる」の英語についても解説しておきます。
「追いかけられる」の英語は「追いかける」の受動態により表現できます。受動態の作り方を簡単におさらいすると「be動詞+過去分詞形」でしたね。また、後ろには「by…=~に (よって) 」の説明も加えます。
- The criminal was chased by the police.
- その犯人は警察に追いかけられた。
- Don’t be a chaser, be the one being chased.
- 追いかける側ではなく、追いかけられる立ち場になりなさい。
run after の受動態は不自然なのであまり使いません。主語と目的語を入れ替えてシンプルに言いましょう。シチュエーションによっては run (away) や escape など別の動詞に置き換えて表現することもあります。
- × I’m being run after by the police.
- 私は警察に追いかけられている。
- ○ The police are after me.
- ○ I’m running from the police.
be chased by は1つ前の例文のように be run after by と比べると使われますが、やはり主語と目的語を入れ替えてシンプルに言うべき場合は多いです。日本語で受け身の表現を使っているからといって、英語でも同じように受け身の表現(受動態)にするというわけではありません。翻訳や通訳では注意しましょう。
- × How to be chased by guys.
- 男に追いかけられる女になる方法。
- ○ How to make guys chase you.
catch up/tie the score etc.2. 追いつくの英語表現
「追いつく」の英語は catch up で表現できます。日本語で言う「~に追いつく」を英語で言いたい場合には “catch … up” もしくは “catch up with … / catch up to …” のフレーズを使います。
- He finally could catch up with his rival.
- 彼はようやくライバルに追いつくことができた。
- It was not easy for her to catch up with her classmates.
- 彼女にとって授業(彼女の同級生たち)に追いつくことは簡単ではなかった。
- Go ahead, I’ll catch you up soon.
- 先に行ってて、すぐに追いつくから。
catch up with と catch up to の違いですが、catch up to はアメリカ英語と説明する辞書もありました。ただし、catch up with には「追いついたあとも行動を共にする」ニュアンスを、逆に catch up to では「追いつくまでのことを中心に伝える」ニュアンスを感じられます。
特に catch up to が「物」や「基準」などを対象に使われる場合には「追いつくまでのことのみ」を伝えるニュアンスが強くなります。ですから、あえて catch up to の方を使う場面もあります。
- I need to catch up to the required level quickly.
- 私は早く求められているレベルに追いつく必要がある。
- John caught up to the ball at the end line.
- ジョンはエンドラインのところでボールに追いついた。
なお「catch up=追いつく」を過去形で伝えたい場合は「caught up=追いついた」となります。catch は不規則動詞なので、過去形が catched ではなく caught になることに気をつけましょう。
得点について話しているシーンで「同点に追いつく」の英語
野球やサッカーなどの得点競技で「同点に追いつく」を英語で言いたいことがあると思います。この場合にも上で紹介した catch up はそのまま使えますが、他にも「同点になる」を表せる英語表現があります。
1つ面白いのが back level という表現。主語や状況に合わせて bring, pull, get, go などの様々な動詞が使われますが、“The game is back level.” のように「be動詞」も使われます。
- The brilliant goal brought Japan back level.
- その素晴らしいゴールが日本を同点に追いつかせた。
- We’re back level now!
- これで同点 (に追いついた) !
もう1つ、よく使われるのは tie を使った “tie the score” や “tie the game” のフレーズです。こちらもぜひ覚えておきましょう(関連語に even, draw, equal などもありますので、言葉に詰まったらパッと頭に浮かんだ単語で説明してしまう柔軟性も必要です)。
- Our team managed to tie the score in the second half.
- 私たちのチームは後半なんとか同点に追いつくことに成功した。
- Japan tied the game with 3 minutes remaining.
- 日本は3分を残して同点に追いついた。
「追いつく」と同じ英語表現が使える「追いつかれる」の英語表現
次は「追いつく」の受け身となる「追いつかれる」の英語表現を確認しましょう。“catch up” の受動態は “be caught up by” ですが、主語と目的語を入れ替えてシンプルに言え換えられるならそうしましょう。
- We’ve been caught up by our competitors.
- → Our competitors caught us up.
- 我々は競合に追いつかれた。
また、スポーツなどで使われる「同点に追いついた」の英語表現は、声のイントネーションや立ち場によってまったく同じ英文なのに「追いつかれたこと」も言い表すことができます。日本語でも同じですが、無理やり受動態を作ろうとするのではなく、英語ではなるべくシンプルに表現することが大切です。
- Yeah, it’s tied now!
- よし、これで同点!(同点に追いついた)
- Oh no, so it’s tied now.
- あーあ、これで同点!(同点に追いつかれた)
overtake/pass/surpass etc.3. 追い越す(追い抜く)の英語表現
今度は「追い越す (追い抜く) 」の英語です。単純に go in front のような説明で言い表すこともできますが、1つの単語で言う場合は overtake や pass で表現します。文法的にはどちらを使っても正解ですが、overtake と pass ではどうニュアンスが違うのか考えてみてください。
- The sports car overtook/passed two trucks.
- そのスポーツカーは2台のトラックを追い越した(追い抜いた)。
警察や保険会社は見逃してくれない !?追い超すと追い抜くの意味の違い
実は、日本の交通ルールにおいて「追い越す」と「追い抜く」には、明確な意味の違いがあります。
追い越しとは、車両が前方の車両等に追いついたときに進路を変えて追いついた車両等の前へ出ることをいいます。これに対して、進路を変えず前方の車両等の前へ出ることを追い抜きといいます。追い越しと追い抜きはどう違うのですか
英語の overtake と pass にも、これと同じようなニュアンスの違いがあります。実際にニュージーランド交通局のウェブサイトでは、日本語のそれと同じ説明がされています。つまり、自動車の運転の場面において「追い越し=overtaking」「追い抜き=passing」と英語でも明確に使い分けられているのです。
もちろん、交通ルールとして使われる場合以外の overtake と pass にも、ニュアンスの違いはあります。pass には「追い抜かす」以外に「通り過ぎる」や「すれ違う」の意味もあり、意識せずに追い抜かしている感覚です。反対に overtake を使う場合には「追い越そうとしている意図」が明確に感じられます。
overtake は何かを「物理的に追い超す」とき以外に「能力、業績、数字」などにもよく使います。
- That company overtook us in sales last year.
- その会社は去年売上で私たちを追い越した。
- Coffee has overtaken tea as the most popular drink in the office.
- コーヒーは「オフィスで1番人気のある飲み物」としてお茶を抜いた。
能力、業績、数字などには surpass を使う方が自然な場合もあります。合わせて覚えておきましょう。
- Smartphone sales surpassed PC sales as of the end of 2010.
- 2010年の末時点で、スマートフォンの売上がパソコンの売上を抜きました。
追い越す側? 追い越される側?「追い越される」の英語表現
これまでと同じように「追い越される (もしくは追い抜かれる) 」の英語も確認しておきましょう。やはり、主語と目的語を入れ替えてそのまま overtake/pass/surpass を使う方法はシンプルに使えます。
- I’m 170 cm tall and my son overtook me this summer.
- 私は身長170cmなのですが、この夏、息子に追い抜かれました。
さらに、受動態「be動詞+過去分詞形」の “be overtaken (by)” もよく使われます。
- The runner was overtaken just before the finish line.
- その走者はゴールの直前で抜かれてしまった。
- The Japanese economy was overtaken by China’s economy.
- 日本は中国に経済面で追い越された。
イディオムを覚えて表現力をさらにアップ!その他の「追い越される」の英語表現
もう1つ「~に追い越される」の英語表現として “fall behind …” のフレーズもぜひ覚えておきましょう。ニュアンスを日本語で言うと「~の後ろに順位を落とす」の感覚です。この fall behind… も overtake と同じように、物理的な競争以外の「能力、業績、数字」で追い越されることを表現できます。
- The U.S. ranked second until 2017, but fell behind Japan in 2018.
- 2017年までアメリカ合衆国は2位だったが、2018年に日本に追い越された。
なお、”fall behind …” と似た表現に “lose the lead to …” というフレーズもあります。ただし lead には「先頭」や「首位」の意味があるため、ニュアンスでは「~に追い越されて2位になる」に近いです。実際に使用できるシチュエーションは “fall behind …” と比べると少ないでしょう。
- No one could believe that they quickly lost the lead to a small venture company.
- 小さなベンチャー企業にあっという間に追い越されたことを、誰も信じることができなかった。
今回のまとめ
今回は「追いかける・追いつく・追い越す (追い抜く) 」の英語表現について解説しました。
受け身の表現である「追いかけられる・追いつかれる・追い越される (追い抜かれる) 」も含めてたくさんの英語例文を紹介してきましたが、最後に基本をおさらいすると以下のようになります。
- 追いかける
- chase
- 追いかけられる
- be chased (by)
- 追いつく
- catch up
- 追いつかれる
- be caught up (by)
- 追い超す
- overtake
- 追い越される
- be overtaken (by)
- 追い抜く
- pass
- 追い抜かれる
- be passed (by)
ただし、英語ではなるべくシンプルに伝えることが大切です。
受動態を使わず、主語と目的語を入れ替えてシンプルに表現することで「追いかけられる・追いつかれる・追い越される・追い抜かれる」も上手く伝えることができます。
今回の記事も、ぜひ英語上達の参考にしてください!