“ESL”とは、English as a Second Language(第二言語としての英語)の略で、日本語を母語とする日本人にとっての英語も「ESL」にあたります。世界中で英語を話す17.5億人のうち、実に80%近くが「ESL」であることも分かっており、英語は非ネイティブで話す人の割合の方がずっと多いというわけですね。
それでは、第二言語として英語を習得するメリットはどこにあるのでしょうか? 日頃から日本で英語学習を継続されている方は「第二言語として英語を習得することの具体的なメリット」について、深く考える機会は意外と少ないかもしれません。
そこで今回は「ESL」について詳しく説明するとともに、『第二言語として英語を習得する5つのメリット』についてもご紹介します。多くの英語学習者の方に、モチベーション向上の糧としていただければ幸いです。
なぜ「第二言語」を習うのか?
私たち日本人は学校で英語を習いますが、一般的にどこの国の子どもたちも「第二言語」を習います。では、なぜ「第二言語」として私たちは英語を習うのでしょうか?
まず、全員が「日常的に英語を使えるレベル」になるかどうかは別として、英語を習えば日常生活で目にするカタカナ語、外来語、アルファベットの理解が簡単になりますよね。第二言語を習うことは、社会や世界観を把握することにも貢献していると言えるでしょう。
後ほど話に出てくる『第二言語として英語を習得する5つのメリット」はこういった基本ではありませんが、私たちが母語以外の言語を習う理由は、やはり様々なメリットがあるからに他なりません。日常的・専門的なコミュニケーションを不自由なくできるレベルになれば、さらに多くのメリットを享受できます。
そもそも「第二言語」の定義は?
そもそも第二言語とは『母語である第一言語を習得後に学習し、使用できるようになった母語以外の言語』を指します。英語では「ESL」の説明でも出てきたように、Second Language と言います。
日本では「第二言語=第一外国語」
「第二言語」や「第一外国語」といったこれらの表現が用いられるのは主に大学ですが、方言を除けば国内で1つしか言語がない日本においては「第二言語=第一外国語」と言って良いでしょう。これらの2つの単語を別のものと認識される方もいらっしゃるようですが、それは表現が違うだけで、実質的には同じです。
ここから先に出てくる「第二言語」という言葉は「第一外国語」と置き換えていただいても結構です。また、それと同様に「第三言語」という場合には「第二外国語」と言い換えることもできます。
日本人の第二言語と現代の英語教育
日本の小学校で小学5、6年生を対象に英語(外国語活動)が始まったのは2008年からです。そして、来たる2020年には小学3、4年生に前倒しされますが、今年度2018年から先行実施する学校も出てくるようです。
さらに英語教育早期化が進めば、日本の若者の間でも英語話者が増えていくことが期待できそうですね。
しかし、日本の英語教育は「使える実用的な英語」というよりも「受験のための英語」という印象がまだ強いです。会話やディベートなど言語学習で不可欠な「コミュニケーション能力」ではなく、文法やリーディングなど「インプット学習」を重点的に教えるのが日本の英語教育だからです。英語の上達にアウトプット練習が欠かせないという事実を考えれば、まだ日本の英語教育には多くの課題が残されていると言えるでしょう。
2020年には「ESL人口」20億人!?
“ESL”とは English as a Second Language の略ですが、転じて「第二言語として英語を話す人」を指したり、また「第二言語として英語を教える学校」として使われたりもしています。
つまり「ESL人口」とは、第二言語として英語を話す人の数のことですね。日本人の英語話者も少しずつ増えていますが、世界的に見てみると、東京オリンピックが開催される2020年には「ESL人口」だけで20億人に達するとも言われています。
In a globalized world, the number of English learners around the world is only expected to further grow. In fact, recent predictions expect that the number of those learning English as a Second or Foreign Language will double by the year 2020 to nearly 2 billion people.
How Many People Learn English? – ThoughtCo.com
これは「世界中で4人に1人以上が、第二言語として英語を話す世界」になることを意味します。
第二言語で英語を習得するメリット
第二言語としての英語「ESL」についてはひととおりご理解いただけたかと思いますので、これ以降はそんな英語を習得することの『メリット』を具体的に5つご紹介していきます。
メリット1.世界中の人と話せる
まず1つ目のメリットは、とにかく「世界中でたくさんの人と話せる」ことです。
Harvard Business Review(2012)によるとネイティブ話者を含めれば既に約17.5億人が英語話者であり、また、2020年には「ESL人口」が約20億人になると言われている通り、英語を話すことが出来れば多くの人々とコミュニケーションを取れるようになります。日本人以外の様々な人種・国籍の人と意見交換ができるので、ビジネスだけでなく日常や旅行先でも必ず役に立ちます。
メリット2.第三言語の習得に便利
英語以外の外国語を学習されている方はお気付きかもしれませんが、英語を習得しておくと、第三言語としてヨーロッパ系の言語を学習するときに便利です。英語の知識が生きるということもそうですが、英語の教材を併用しながら日本語と英語で勉強できることも大きなメリットになります。
参考までに、外交官等の専門職を養成する米国務省機関である外務職員局(Foreign Service Institute)は、英語を母語とする者がフランス語やスペイン語を習得するまでに掛かる期間は約23~24週間としています。上記リンクにあるデータは英語が母語である場合ですが、第二言語「ESL」として英語を習得した場合でも、フランス語・スペイン語・オランダ語・イタリア語・ポルトガル語などはかなり習得しやすくなります。
メリット3.国を超えて進学できる
3つ目のメリットとして、英語を習得することによって「進学の幅が国内外に広がる」ということも忘れてはいけません。ある程度の高い語学レベルは求められますが、1カ国だけではなく世界各地へ進学する選択肢が持てることは、やはり英語ならではのメリットでしょう。
英語が母語でなくても、海外では多くの国で英語による修士号や博士号の取得が可能です。専攻によっては、日本より高い水準のプログラムを設けている場合もありますし、キャリアアップのために大学や大学院に戻ることも海外では珍しくありません。
メリット4.情報収集の幅が広がる
私たち日本人が何か情報収集をするときは日本語を使うことが一般的ですが、世界的な規模で見るとやはり、英語を使って情報収集できると便利です。SNSを使って世界中の人と話せるのはもちろん、インターネットでリサーチをするときに見つけられる情報の幅も格段に広がります。
現在では英語のニュースも素早く翻訳され、日本語でもそういったニュースを入手しやすくなっていますが、英語が理解できれば「更なる情報収集」も可能ですし、現地にしかない情報だって手に入れられます。また、専門的な論文や文献の多くは英語で書かれていますので、そういった専門的情報を知識として身に付けたり、あるいは日本語へ翻訳して情報発信したりできるメリットもあります。
メリット5.昇進・海外進出に有利
第二言語として英語を習得するメリットの最後には、「昇進・海外進出に有利」ということが挙げられます。そもそも、英語学習を開始されたい方や継続されている方々の多くは、「昇進」や「海外転勤・駐在」などがその理由の1つではないでしょうか?
確かに日本の企業では、従業員の昇進や海外転勤・駐在の目安に、TOEICなど英語能力を問う試験のスコアを参考としている傾向があります。また、自分自身でビジネスをされている方にとっても、英語ができることで海外へ進出するチャンスをつかみやすくなるでしょう。第三言語を習得していたり、海外経験が豊富だったりすることにより、英語でのコミュニケーションはさらにスムーズになるかもしれません。
ESL英語習得メリットまとめ
いかがでしたでしょうか? 世界には今、第二言語として英語を話す「ESL」な人がますます増えています。英語を勉強すると社会をより良く知ることができますし、世界の4分の1以上の人と話せるようになったり、第三言語の習得に使えたり、自分の世界を広げていくための原動力にもなってくれます。
今からでも英語を学ぶメリットは十分あります。語学学習の最終目的は十人十色ですが、今回の記事を読んでいただいた方々には「第二言語として英語を習得するメリット」を再実感していただいて、モチベーションの向上に繋げていただけたなら幸いです。