“Go ahead.” や “Please go ahead.” は「お先にどうぞ」の意味で使われることが多いですが、その意味合いはシチュエーションによって大きく違い、ビジネスシーンでは “go-ahead” の形で「名詞」や「形容詞」として使われることもあります(go と ahead の間にある “ハイフン” に気付きましたか?)。
今回は、日常会話でよく使われる “Go ahead.” の意味と使い方に加え、その応用となる “go-ahead” の意味と使い方についても解説していきます。
「Go ahead」 の基本的な意味
まずは、日常会話でよく使われる “Go ahead” の意味と使い方から確認しましょう。基本の意味としては次の2つを抑えておけば大丈夫です。
意味① 先に行く
これは単純に go と ahead の意味を組み合わせて「先に行く」です。簡単ですよね。例文から実際の使い方も見てみましょう。
- You can go ahead with the group. I’ll catch up with you later.
- そのグループと一緒に先に行って良いよ。私はあとで追いつくから。
- I forgot my phone in the car. You go ahead, I’ll catch up soon.
- 車に携帯電話を忘れてきちゃった。先に行ってて、すぐに追いつくから。
ちなみに ahead という単語は、距離として「先」にある様子だけでなく、得点で「リード」している状況や、能力的に「優れている」状況、時間的に「前倒し」である状況など、様々な様子を表せる単語です。ahead の意味をしっかり抑えたい方は、オンライン英英辞書に載っている例文も確認しておきましょう。
意味② 物事を先に進める / 物事が始まる
Go ahead は「物事を先に進める/物事が始まる」という意味でも使えます。
何でも良いので、物事が「先に進む様子」をイメージしてください。計画したことや、今していること、既に先に進みかけていたり進んでいたのに何かの理由で中断されてしまったことでも構いません。これらの物事を意識して「先に進める」ときにぴったりの表現が go ahead なのです。使い方を見てみます。
- Let’s go ahead with the original plan and see what happens.
- 当初の計画どおりに始めてみて、どうなるか見てみよう。
- Oil and Gas summit will be going ahead in June as planned.
- 石油・ガスサミットは予定通り六月に開催します。
1つ目の例文では、色々と別の計画も検討していて物事が進まない(go ahead できない)状況が続いていたけれど、やっぱり当初の計画で先に進めよう(go ahead させよう)といったニュアンスを含んでいます。
さて2つ目の例文では、どのようなニュアンスが読み取れるでしょうか? シンプルに “Oil and Gas summit is being held in June.” と言う場合と比べてみると分かりやすいかもしれません。何かの理由によって開催が危ぶまれていた、あるいは開催時期の変更が検討されていたと想像することができるでしょう。
命令形 「Go ahead」 の使い方と意味合い
命令形の Go ahead は会話中によく使われます。上でご紹介した基本の意味を抑えていれば、命令形の意味も簡単に理解できるでしょう。こちらも基本ですが、特によく使われる3パターンを挙げておきます。
命令形の 「Go ahead」 パターン①相手に行動を譲る 「Go ahead」
あなたと誰かが同じことをしようとしているとき、その相手に行動を譲るパターンの使い方です。
まず、会話中に誰かと同時に何かを言い掛けたときなど、“Go ahead.” ということで相手に発言を譲ることができます。電話やテレビ会議、オンラインで話しているときなどには特に発言が重なってしまいやすいので、よく使われますね。
エレベーター、エスカレーター、建物の入口など、同時には乗ったり入ったりできないときにも使います。
他にも、ちょっとした行列で自分の用事に時間が掛かりそうなとき、例えばスーパーのレジに並んでいて後ろの人が1つしか商品を持っていなかった場合や、ATMが1つしかなくて通帳への記帳など複数のことをしたい場合など、気遣いで後ろの人に “Go ahead, please.” と譲ってあげることができます。
命令形の 「Go ahead」 パターン②相手の行動を促す 「Go ahead」
次は、相手が何かを遠慮しているときや、行動を差し控えているときに使う go ahead のパターンです。
“Go ahead while it’s hot.” は、レストランなどで先に食事が出てきた人に対して「冷めないうちにどうぞ」の意味で使います。命令形といっても丁寧な言い回しになりますので普通に使えますが、もし目上の人であれば “Please, you go ahead and eat.” という言い方もあります。
このパターンの “go ahead” は「遠慮しないで」という意味の “don’t hesitate” に近いですね。ただ、やはり基本の意味を命令形として「(物事を)先に進めて」という風に捉えることができます。
次の例文はどうでしょうか?
- If you want to say something, please go ahead and tell me.
- もし何か言いたいことがあるなら、お願い遠慮せずに言って。
このように、まず相手に何かを言って貰わなければ何も話が始められない状況などで使えます。
命令形の 「Go ahead」 パターン③相手の行動を挑発する 「Go ahead」
このパターンは、同じことをしようとした相手に行動を譲ったり、何かを遠慮している相手に行動を促したりする “go ahead” とは少し違います。むしろ相手がやる気満々なとき、さらなる挑発として使われます。
- Go ahead, if you have the guts!
- やれるもんならやってみろよ!
日本で英語を勉強されている方で、こんな激しい英語での言い争いや喧嘩を経験したことのある方は少ないと思います。このフレーズを使ってみてくださいとは言いませんが、英語はシャイでいるよりも感情が高ぶっているくらいの方がスラスラと言葉が出てくるものです。伝えたいこと・伝えなければいけないことがある人は感情を表に出してどんどん話せるので、英会話も早く上達するでしょう。
「Go-ahead」 名詞用法での意味
ここまでは、基本である “go ahead” を動詞として使うときの説明をしてきました。意味も使い方もそんなに複雑ではなかったと思いますが、ここからはその応用として “go-ahead” とハイフンで繋がって1つの単語になった場合を見ていきましょう。まずは名詞としての用法からです。英語例文を用意しました。
- I got the go-ahead from my dad!
- お父さんからお許しが貰えたよ!
ここでの the go-ahead は「お許し」あるいは「許可」という風に理解しましょう。つまり、先に進むための合図の言葉として使われる “go ahead” を名詞として使っているのです。
なお、名詞用法の “go-ahead” は動詞の give(与える)か get(貰う)とセットで使うことが多いので、次の3つのシノニム(類語)と一緒にフレーズのまま覚えておくと良いでしょう。
- give (or get) the go-ahead
- give (or get) the permission
- give (or get) the green light
「go-ahead」 形容詞用法での意味
英語の面白いところは、この “go-ahead” という単語は「形容詞(adjective)」にもなるということです。
形容詞では「名詞(noun)を修飾する」わけですが、a go-ahead sign(ゴーサイン)のような分かりやすい使われ方だけではなく、次のように「人」に対して使われることもあるのです。
- a go-ahead person
- a go-ahead student
- a go-ahead employee
これはどのような意味になるのでしょうか? なお、それぞれ複数形にして次のような形でも使われます。
- go-ahead people
- go-ahead students
- go-ahead employees
勘の良い方であればおそらく説明をしなくても意味は理解できるかと思いますが、これは一般的な人と比べて “go-ahead” している「新しいモノや方法を試すことに熱心である」人たちのことを指しています。
- She is one of those “go-ahead people” in my company.
- 彼女は僕の会社にいる「新しいことに熱心で進んでいる人たち」の一人だ。
“go ahead” がハイフンで繋がった “go-ahead” にはこういった使い方もあるんですね。その意味を注意深く観察してみると、根底にはやはり「先に行く」「物事を先に進める」といった基本の意味が存在しています。英語を英語の意味のまま理解すれば、こういった英語の使い方も自然と覚えられるようになりますよ。
「Go ahead」 意味と使い方のおさらい
今回は Please go ahead.(お先にどうぞ)や Let’s go ahead.(先に進みましょう)といった基本的な意味で使われる “Go ahead” に加えて、ハイフンで繋がれて1つの単語となった “go-ahead” の意味と使い方を解説しました。
“Go ahead” は基本の意味さえ分かれば、命令形 “Go ahead.” が使われるシチュエーションが変わっても瞬時に意味合いを理解できます。日本語に訳すと意味合いは変わるものの、基本の意味は変わりません。
また、名詞としての “the go-ahead” は “the green light” と同じように「許可」という意味で使われ、形容詞としては “go-ahead people” という様に「新しいことに熱心で進んでいる人たち」のように使われたりもします。ぜひ合わせて覚えておきましょう。
このように英語を英語の意味のまま理解していくと、意味の深い単語がたくさんあることに気付きます。まだ日常生活で英語を使うチャンスが少ない方は、ぜひ積極的に英会話のチャンスを増やしてみてください!