英語の《buzz》の意味から生まれた「バズる」という日本語は SNS などのインターネット上でよく目にする言葉です。「バズる」とは「何かが多くの人にシェアされたり、大手メディアに取り上げられたりするうちに急速に話題になる」ことを意味していますが、英語の《buzz》も同様に動詞として使うのでしょうか?
気になる《buzz》の英語の意味と使い方、そして「バズる」の英語表現について解説していきます。
バズるを英語で言うための基礎知識1. buzz の基本の意味と使い方
まず buzz の基本の意味と使い方を見ていきます。buzz 単体の意味と使い方を確認したあと、buzz を含むイディオム(複数の言葉が組み合わさり特殊な意味になる慣用句)や、日本語の「バズる」を表現する方法をそれぞれ解説します。
英語の buzz 本来の意味
英語の《buzz》単体が表現するものとして最初にあげられるのは、ブーンという「ハチや蚊などの虫」から聞こえる「羽音」です。目にも留まらない速さの羽をイメージしましょう。名詞形と動詞形で使えます。
- Mosquitoes’ wings make that annoying buzz when they fly.
- 蚊の羽は飛ぶときにあのうっとおしいブーンという羽音を鳴らす。
- I hate mosquitoes buzzing in my ear at night.
- 私、夜に耳もとで蚊がブーンというの大嫌い。
もう1つ別の音の表現として「ブザーを鳴らして注意を引く」という意味もあります。buzzer ももちろん、 buzz の派生語です。そして、この場合の《buzz》の意味は上記の「羽音」から来ています。
- She buzzed at a security door, but no one answered.
- 彼女はセキュリティードアのところでブザーを押したが、誰も返事をしなかった。
次に、虫が飛ぶときの羽が「目にも留まらぬ速さで動いている様子」をイメージすると分かりやすいかと思いますが、buzz には「忙しく活気にあふれた状況」「嬉しくて興奮している気分」といった意味もあります。皆さんがご存知の「バズる」の意味にも少し近づきましたね。
- There was an unusual buzz in the air.
- いつもとは違う活気にあふれた空気があった。
- I’m buzzing about becoming a father.
- 私は父親になることに嬉しくて興奮している。
あるいは《buzz》そのものを名詞形で「人々の興奮や関心を生み出すもの」や「噂(ゴシップ)」の意味で使うことが出来ます。これは日本語の「バズ」の表現にもかなり近いと言えそうです。
- So, what’s the buzz about Taylor Swift’s new boyfriend?
- それで、テイラー・スウィフトの新しい彼氏についての噂って何なの?
英語の buzz を使ったイディオム
ここまでで buzz という単語の本来の意味はだいぶ理解していただけたかと思います。ここで buzz の意味を深く知るために、いくつか「イディオム」をご紹介しておきましょう。
1つ目の《buzz》を使ったイディオムとして《buzz along》があります。もともとは虫の buzz sound に似ている機械の運転音から「機械が音を立てながら順調に稼動している様子」を表していたフレーズですが、車やバイクが走るときの「エンジン音」に広く使われるようになり【速いペースを維持して運転すること】を言い表すようになりました。ブーンという buzz sound の「音」を連想すると分かりやすいでしょう。
- I heard the car buzzing along last night.
- 昨日の夜、車が飛ばして運転している音を聞いた。
もう1つ面白いイディオムは《give … a buzz》で「…に電話を掛ける」あるいは「…を喜ばせる」の意味になります。こちらは、buzz の意味を「着信音」あるいは「嬉しくて興奮している気分」の両方に取ることができるというわけです。
- It was really fun today, give me a buzz anytime!
- 今日はとても楽しかった、いつでも電話してね!
日本語のバズるを buzz で表すには?
日本語の「バズる」を英語の《buzz》を使って表現するとしたら、buzz を形容詞として使ったイディオムの《buzz word》「特定の分野・グループの間で最近話題 (人気) を得た言葉」を文中に入れて表現します。
- Sustainability has become a buzz word in the beef industry.
- サステナビリティ(持続可能性)という言葉が、牛肉産業の中で最近話題を集めている。
なお《buzz word》は word なので「言葉」に限られます。形容詞の後ろの部分は《buzz topic》や《buzz phrase》のように変え、話題 (人気) になった「事柄」については具体的に言い表しましょう。
ただし英語では今のところ、日本語の「バズる」の意味として《buzz》を動詞形で使うことは少ないです。ということで、英語で「バズる」を表現したいときは、別の動詞を使って表現することをおすすめします。
バズるは buzz 以外の動詞で表現する!2.「急速に話題になる」の英語
ここから《buzz》以外の言葉を使って「バズる」を英語で表現する方法をご紹介します。
前述したように、「バズる」とは「何かが多くの人にシェアされたり、大手メディアに取り上げられたりするうちに急速に話題になる」ことを意味しています。この「急速に話題になる」の英語表現を見てみましょう。これという決まった表現にこだわらず、ネイティブが実際によく使う表現を「6つ」ご紹介します。
★ go viral
《go viral》はまさに日本語の「バズる」にぴったりな英語表現です。日本語でも「バイラルメディア」などメディア業界では使われている単語です。こちらの《go viral》は、特に SNS などのインターネット上で「セリフ、画像、コメント、動画、ストーリー」などが急激に広まることを意味します。
- It’s the dream of every business to have a social media campaign that goes viral.
- 急速に話題になるソーシャルメディアキャンペーンを持つことは全てのビジネスの夢である。
★ suddenly become popular
こちらはとてもシンプルな表現ですが「急に人気になる」の意味で「バズる」を言い換えることができます。インターネット上の人気上昇に限った表現ではありませんが、誰にでも分かりやすい表現でおすすめです。
- Two-tone car paint has suddenly become popular again.
- 二色塗装の人気が再度急上昇した。
★ trending topic
形容詞の《trending》は「今人気の」や「流行りの」の意味として使えることは皆さんもご存知でしょう。
この形容詞を buzz の代わりに使えば《trending》+《topic》や《trending》+《word》のように名詞を組み合わせて事柄を言い表し、その後に補足として on the internet や on Twitter などの説明を加えればまさに「バズっている」の英語表現として使えます。
- The New York Fashion Week is the trending topic on Twitter right now.
- ニューヨークファッションウィークはたった今ツイッターで人気のトピックである。
★ hot topic
《hot》は直訳すると「熱い」ですが、日本語でも「イマ熱い」という言葉は「今人気の」という意味でよく使われます。これを《trending》と同じように形容詞で使えば《hot》+《topic》や《hot》+《word》のように表現できますので、インターネットで起こった事柄に使えば「バズった」の意味になります。
- It became a hot topic on SNS among high school students.
- それは SNS を使っている高校生たちの間で人気の話題になった(バズった)。
★ everyone is talking about it
意味は「皆がそのことについて話している」となり「話題になっている」という解釈になります。シンプルに《everyone is talking about it》と言うだけですが、これだけでも「バズっている」を英語にできます。
- What is mindfulness, and why is everyone talking about it on Twitter now?
- マインドフルネスとは、そしてなぜそれは今ツイッターで話題になっているのか?
★ have been everywhere
直訳は「ここ最近あちこちにある」となりますが、コンテンツが「バズる」ということはインターネット上で急速に人気 (話題) になるということですので、そこらじゅう、あちこちで見かけることになります。これを間接的に言い表すことでも、実は「バズっていること」の英語表現として使えるというわけです。
- The kombucha drink has been everywhere on Instagram recently.
- 最近、コンブチャという飲み物をインスタグラム上のあちこちで見かける。
なお、代名詞の it を使う場合には省略形で it’s been everywhere となるので注意しましょう。この場合の 《it’s》は《it has》の省略であり《it is》の省略ではありません。
今回のまとめbuzzの意味とバズるの英語表現
いかがでしたか? 英語の《buzz》の単語も日本語の「バズ」と同じ意味はありますが、使い方は日本語の「バズる」のように動詞で使うよりは “It’s gonna make a buzz.” のように名詞の「バズ」として使ったり “this buzzed article” のように形容詞として使うことの方が一般的であることを述べました。
次に「バズる=急速に話題になる」を英語で表現するには「多くの人にシェアされたり、大手メディアに取り上げられたり、インターネットのあちこちで目にするくらい人気」ということを伝えるだけでも構いません。その方が、誰にでもシンプルで分かりやすい自然な英語として表現できるはずです。今回はそのための6つの英語表現を紹介しましたので、皆さんも記事を参考に「バズる」を上手な英語にしてみてくださいね!