子どもがインターナショナルスクールへ行くメリットとデメリットとは?

子どもに「英語」を確実に習得させるため、インターナショナルスクールへ入学させることは人気の選択肢となってきています。しかし、英語力のスムースな習得というメリットの裏に、インターナショナルスクールへ行くことによる「隠れたデメリット」があることも忘れてはいけません。

子どもをインターナショナルスクールへ入学させるかどうかの議論は「英語力」についての話だけでは終わりません。なぜなら学校選びは、将来の大学入試、さらに就職といった長期的な話にも関わってくるからです。実際に入学させる前に、インターナショナルスクールのメリットとデメリットを確認しておきましょう。

インターナショナルスクール 子どもへの4つのメリット

まずは「子どもをインターナショナルスクールへ入学させるメリット」について再確認しましょう。保護者が子どもをインターナショナルスクールへ入れさせたい理由は、おそらくこの中にあるはずです。

日本でインターナショナルスクールへ通わせるメリット

1.抜群の英語力を習得できる

まず1つ目のメリットは、やはり抜群の英語力をほぼ確実に習得できることです。

インターナショナルスクールでは、ほとんどの授業を英語で行います。日本人の子どもは入学時に多少苦労があるかもしれませんが、次第にネイティブと対等に対話できるくらいの力がついてきます。これは私が実際に英語力の高い子どもたちを見てきましたから断言できます。

英検1級、TOEIC 950 点、TOEFL 100 点以上を「大学進学前」に取得することも夢ではありません。

2.国際的で多角的な視野が得られる

2つ目のメリットは、日本の学校では教えてくれない「国際的」で「多角的」な視野が得られることです。

残念ながら、日本国内で多文化の環境に触れるのは容易なことではありません。インターナショナルスクールなら色々な国から子どもが集まってくるので、欧米文化だけにとどまらない様々な文化や価値観を学ぶことができます。これは、日本という国においてはインターナショナルスクールならではのことです。

グローバル化がどんどん進む今、早い段階から国際経験を得ておくことは重要になるでしょう。

3.世界各国の子どもと友達になれる

3つ目のメリットは、子どもが「世界各国から集まってくる人たち」と友達になれることです。

日本国内で外国の友達を作ることは、子どもたちにとって簡単ではありません。しかし、インターナショナルスクールに行かせると世界中からの友達を学校の中で作ることができます。現在ではインターネットを通じて海外の友達を作ることも可能ですが、やはり毎日の学校生活を一緒に過ごせる友達は少しワケが違います。

また、こういった友達は、将来的に世界で羽ばたくための重要なコネクションになることもあり得ます。

4.世界一流大学へのチケットとなる

4つ目のメリットは、大学での海外進学の可能性が大きく広がることです。

特に「国際バカロレア・ディプロマプログラム (IBDP) 実施校」に進学・卒業した場合、イギリスのオックスフォード大学、ケンブリッジ大学を含む「世界100ヶ国20,000校以上の大学」への出願資格・入学資格を得ることができます。

IBDP: International Baccalaureate Diploma Programme
国際バカロレア・ディプロマプログラム

これは、普通の学校では得ることができない「最強のメリット」と言えるかも知れません。

インターナショナルスクールの裏側 将来に影響する4つのデメリット

ここまではインターナショナルスクールの良い点を見てきましたが、一方で、インターナショナルスクールに進学することには「デメリット」もいくつかあります。子どもの将来を考えるならメリットにのみ目を向けるのではなく、きちんと裏側のデメリットも理解したうえで熟考することが必要になります。

インターナショナルスクールには悪い点もある

1.とにかく学費が高い

まずは、保護者の皆さまの誰もが気になる学費についてです。普通の学校よりも高いことは覚悟されていると思いますが、一般的なインターナショナルスクールの学費は「年に200〜300万円くらい」と考えておきましょう。それに加え、高価なテキストの購入や海外への修学旅行といった出費が重なります。

仮に子ども1人が「中高6年間」を「年250万円」のインターナショナルスクールで過ごした場合、合計で1500万円の学費が必要となります。小学校からだと、12年間で2倍の3000万円が必要な計算です。これはもう、マンションか高級外車を買うようなレベルの投資になってきます。

2.国内の大学進学の幅が狭まる

インターナショナルスクールでは、受験勉強の指導は基本的にしてくれません。そのため、国内の大学に進学することになった場合、一般の学校に通う子どもたちに比べて不利になることがあります。

この問題は、早慶上智をはじめとする多くの私立大学が「AO入試」を導入しているため改善傾向にあります。しかし、インターナショナルスクールから東大や京大などの一流国立大学への進学はまだまだ困難です。

子ども自身が「インターナショナルな場で学べる」ことはメリットですが、求めている方向の大学進学の幅が狭まってしまう可能性は意外と高いです。子どもが中学生や高校生になったら、将来どんなことをやりたいか聞いてあげるようにし、早めに対策を取っていけるようにする方が良いでしょう。

3.チューターが必要となる

国際バカロレア認定校に進学した場合、一流大学顔負けのレベルの勉強を強いられ、子どもがこなさなければならない宿題や課題の量はとてつもないものになります。

ですので、子どもがバカロレア校にいる場合、多くの保護者の方々がチューター(家庭教師)を個人で雇っているのが現状です。また、一人のチューターがすべての教科を教えることは少ないので、複数のチューターを雇わなければならないケースも珍しくありません。

私も過去に、バカロレア校に通う生徒さんを英作文のチューターとして指導した経験があります。バカロレア校では、卒業にあたって大学の卒論のような論文を英語で書かなくてはいけません。しかもただ書くだけではダメで、その論文はスイスの国際バカロレア本部で厳正に審査され、卒業ができるかどうかが決定されます。この過程で挫折してしまう生徒さんもちらほら見られます。

4.将来に活かせない可能性もある

インターナショナルスクール進学のメリットの一つは、海外の一流大学でさえも進学可能になることでした。しかし、実際にそのような海外の一流大学に進学・卒業した場合、就職はどうなるのでしょうか?

海外で就職する場合は「就労ビザ」が必要です。ただし、アメリカやイギリスなどの先進国では、職業経験のない日本人が大学卒業後そのまますぐに就労ビザを取得することはなかなかに困難です。

このため、せっかく海外の一流大学を卒業しても、また日本に戻ってきて国内の企業に就職をすることになる可能性は意外と高いです。「せっかくのエリート国際教育の結果がこうなってはもったいない」と感じるのは私だけでしょうか? なぜなら、日本の企業に就職すると周りと同じスタートラインに立たされるからです。

もちろん例外もあるわけですが、まだ日本ではこういうパターンが多いことを、ぜひ事実として知っておいてください。特に、子どもが「将来やりたいこと」を話し始める時期が来たら、子どもと相談しつつ家庭内での教育方針を軌道修正する柔軟さも必要でしょう。

今回のまとめメリット・デメリットを比較して

インターナショナルスクールの学費は決して安いものではない

今回は「子どもがインターナショナルスクールへ行くメリットとデメリット」をお伝えしました。読者の方はおそらく保護者の方々が多いと思いますが、中には「私がインターナショナルスクールへ通っている本人」という方もおられるでしょう。皆さんはこの記事を読んで、どのように思われたでしょうか?

インターナショナルスクールへ進学してネイティブレベルの英語力をゲットすることは、親の世代にとっては夢のような話かもしれません。しかし、デメリットと照らし合わせてみると「ここまで学費と負担を掛けて、本当に長期的なリターンを子どもは得られるの?」ということも考えなくてはなりません。

家族と子どもにとってメリットとデメリットのどちらが大きいか、子どもに将来どのようなキャリアを積んで欲しいのか、本人は何をやりたいと考えているかなど、しっかりと熟慮した上で結論を下してください。