動詞 “take” の基本的な意味は「取る」ですが、意味が多いので全て覚えるのは大変です。それよりも “take back” “take place” “take over” など多用するフレーズの意味と使い方をそのまま覚えましょう。
それでは、“take” を用いた頻出12フレーズを例文と共に詳しく分かりやすく解説していきます。
まずは基本の意味をチェック!動詞《take》のコアイメージ
“take” の基本的な意味は「取る」で、直後に名詞がきたら「~を取る」のコアイメージのままでOKです。
また “take” の直後に “away” “off” “on” “up” “down” などの「状態」を表す単語がきたら、コアイメージは「手に取って~の状態にする」と考えると理解しやすくなります。
1. take away の意味~を持ち帰る、持って離れる
日本の飲食店では「お持ち帰り=takeout(テイクアウト)」という名詞が浸透していますよね。実はこれは北米でよく使われる英語で、北米以外では世界的に「takeaway」の方が一般的だったりします。
そしてこれは、動詞では「持ち帰る=take away」となります。
海外旅行の際、コーヒーショップなどテイクアウト頻度の高いお店で「お店用でご用意しますか? それともお持ち帰りですか?」と店員さんに声を掛けられた経験がある方は多いかもしれません。そのような場合には「Takeaway.」と名詞だけで答えても大丈夫ですよ。
- A:Hi. One iced coffee, please.
- アイスコーヒーを1つください。
- B:Hi, for here or takeaway?
- 店内用ですか?お持ち帰りですか?
- A:Takeaway, please.
- お持ち帰りでお願いします。
- B:Sure!
- かしこまりました。
なお「take away …」は「~を持って離れる」が基本の意味ですから、注文した食べ物をショップから持って離れることをイメージすると良いでしょう。同じイメージで、他にも色々な使い道ができます。
- 何かを遠くへ持ち運ぶ(持ち去る)
- 誰かを遠くまで連れていく(連れ去る)
- 人から何かを取り上げて遠ざける
親が子どもからゲームや漫画などを「take away … from ~」といった使い方もありますね。
- Stop playing games or I’ll take away the computer from you.
- ゲームをするのやめなさい、じゃないとパソコンをどこか遠くへやるわよ。
2. Take up の意味~を取りあげる、始める etc.
take up をそれぞれ単語に分解したコアイメージは take=「つかむ」+ up=「上げる」です。こちらも実際の英文を見ながら、感覚的に意味をとらえて表現のバリエーションを増やしましょう。
- I don’t want to take up too much of your time.
- あなたの時間をあまり取り過ぎたくはありません。
- These videos are taking up too much space on my iPhone.
- これらの動画は私の iPhone のスペースを取り過ぎてしまっています。
- Let’s take up the issue of women’s rights.
- 女性の権利問題について取り上げよう。
“take up …” の後ろに何か行動や趣味を持ってくると「~を(選んで)始める」という意味になり、会話中に時々使われる表現の一つです。始めるといえば “start” を連想される方も多いかもしれませんが、“take up” は何かを自分から積極的に始めるボジティブなシーンで使います。
- I took up playing guitar recently.
- 最近ギターを始めたんだ。
これから何かを「選んで」始めてみたいなら、次のような言い方もできます。
- A:I want to take up a new sport.
- 新しいスポーツを始めたいな。
- B:Why don’t you come jogging with me?
- 私と一緒にジョギングに来ない?
3. take it easy の意味楽に取る、落ち着いて etc.
まずは “take” のコアイメージを思い出して「take it easy=楽に取る」という意味で理解しましょう。誰かをいたわって「気楽にいこう=Let’s take it easy.」と声をかけるなど、日常会話中でよく使われる表現です。
- Let’s take it easy.
- 気楽にいこうよ。
また「take it easy=くつろぐ」というニュアンスで使うこともあります。
- I’m going to take it easy today.
- 今日はくつろぐ予定です。
友達を家に招いた際など「自分の家のようにくつろいでね」という意味をこめ “Take it easy.” と声をかけるパターンもあるでしょう。
他に、状況によっては「落ち着いて」と相手をなだめる表現にも使えます。
- A:Hurry up! We will be late for class.
- 早くしてよ!授業に遅れちゃうよ。
- B:Take it easy! We still have 10 minutes.
- 落ち着いて!まだ10分もあるよ。
“Take it easy!” を訳すと状況によって様々な日本語になりますが、基本の「楽に取る」の意味から解釈すれば「気楽にいこうよ」「くつろいでね」「落ち着いて」といった全ての表現で使えるようになります。
4. take care of … の意味~の世話をする、面倒を見る etc.
“take care of …” には「~を世話する、面倒を見る、大事にする」といった意味があります。子供の面倒見をするときのフレーズとして紹介するとイメージしやすいかもしれません。
- A:What are you going to do today?
- 今日はなにしているの?
- B:I need to take care of my son at home.
- 今日は家で息子の世話をしなければなりません。
care 単体の意味は「世話」を意味し、of は「~を」を意味する前置詞ですね。
“take care of …” のフレーズは「面倒を見なくてはならないこと」に対してなら、人だけでなく動物やモノや出来事など何にでも使えます。ですから、シチュエーションによって日本語の意味や訳し方も変わります。
- A video of dog taking care of kittens
- 子猫たちの面倒を見ている犬の動画
- I’ll clean the room. Can you take care of the dishes?
- 私は部屋を掃除するわ。あなたは洗い物やってくれる?
そして、別れ際や手紙の末尾に使える “Take care of yourself.” は「お体に気をつけて」の意味を持ちます。こちらはとてもよく使うフレーズなので、ぜひ覚えておきましょう。
- Please take care of yourself.
- どうぞ、お体に気をつけて。
5. take a look … の意味~を一見する、ちょっと見る
“Take a look …” は、誰かに「~をちょっと見て」というニュアンスで使われます。“Look …” と強めに主張するのではなく「少し見て欲しい」と柔らかくお願いしたいときに用いると良いでしょう。
日常会話での “take a look …” の例
- Can you go and take a look outside?
- あなたちょっと外へ行って見てきてくれる?
この “take a look outside” は外の様子を見て取ってくるという意味で理解すると良いかもしれません。
ビシネスでの “take a look …” の例
- Please take a look at this screen.
- こちらのスクリーンをご覧ください。
企画書やプレゼンの資料を「一見して欲しい」ときなど、周りに投げかける言葉として使えますね。
6. take over の意味~を引き継ぐ、代わりに引き受ける
“take over …” には「~(主に仕事や物事)を引き継ぐ」の意味があります。ビジネスシーンで用いることが多いですが、まずは日常会話でも使える「~を代わりに引き受ける」の表現をご紹介します。
- I can’t study any longer. Please take over.
- もうこれ以上勉強できないよ、代わってくれない?
上の例文では、実際には代われないことに冗談で “take over” を使っていますね。
一方、ビジネスシーンでは「~の代理として引き継ぐ」という意味になり、強制的に引き継ぐ場合であれば「~を買収して乗っ取る」という意味にもなります。
- Taiwanese company Hon Hai took over Sharp Corporation.
- 台湾の企業「鴻海精密工業」は「シャープ株式会社」を買収した。
7. take place の意味~が起こる、催される
“place” というと真っ先に「場所」の意味をイメージしますよね。これが “take place …” という連語になると「場所を取る」ではなく「~が起こる、催される」という表現になります。
ただ具体的には「場所」や「時間」を必要とする催し物やイベントをイメージすると良いでしょう。
- The meeting will take place next Monday.
- ミーティングは来週の月曜日に行われる。
- When will the concert take place?
- コンサートはいつ開催されますか?
take place / happen / occur の違い
“take place” と同じ「~が起こる」の意味をもつ動詞に “happen” や “occur” がありますが、少し違いを説明すると以下のようなイメージとなります。
take place
予定された計画が実際に起こる
(場所や時間を取るイベントなど)
happen
予期されていない事態が突然に起こる
(場所に関係ない事件や事故など)
occur
ある現象や歴史的発見などが突然起こる
(happen よりフォーマルな表現)
洋画を見ているとき「What’s happened?=何が起こったんだ?」と思わず声をあげるセリフを聞いたことがあると思います。これは、思いがけないことが突然発生したときなどのセリフですよね。
「occur」は「happen」と似ていますがもう少しフォーマルな表現になります。そして、長い時間軸で見るとある程度は予測されている「自然現象」や「歴史的発見」といった特定のことによく対して使われます。
8. take off の意味~を取り外す、脱ぐ / 離陸する etc.
“take off …” のコアは、何かを「take=取る」して「off=離れさせる」とイメージすると分かりやすいです。目的語には何かの部品、衣服、アクセサリーなどが入り「~を取り外す」の意味で使われます。
- Please take off your shoes here.
- 靴はここで脱いでください。
- I took off my jacket and sat on the grass.
- 私はジャケットを脱いで芝生の上に座った。
最もよく使う「take off=脱ぐ」の逆は「put on=着る」です。セットで覚えておくと良いでしょう。
ちなみに “take off” のもう1つの意味に「離陸する」がありますが、この場合には「目的語」を取りません。主語となる単語そのものが off の状態を取るとイメージしましょう。
- We are taking off in a few minutes.
- 当機はあと数分で離陸いたします。
「take off=離陸する」を使うシーンは飛行機についてが多いですが、ヘリコプターや気球でも使えますし、映画ではスペースシャトルなんかもありますよね。また、人や動物(特に鳥類)を主語に使うと「踏み切ってジャンプする」や「飛び立つ」といった意味にもなります。
- A photo of a bird taking off from the water’s surface
- 水面から飛び立つ鳥の写真
9. take on の意味~を得る、雇う、大げさに取る etc.
“take on …” はコアイメージの「take=取る」に「on=~について、~に対して etc.」が続く連語ですが、様々なニュアンスで使うことができるため、一言で意味を伝えることは難しいです。こういう場合はざっくりコアイメージだけをイメージし、実際の使われ方をたくさん見るようにしましょう。
- The word feminism took on multiple meanings.
- フェミニズムという言葉は様々な意味を持つようになった。
- So your business is booming and trying to take on new staff?
- ビジネスが順調で新しいスタッフを雇おうとお考えですか?
- Germany take on South Korea in their Group F match.
- ドイツはグループFの試合で韓国と対戦します。
- He is ready to take things on by himself.
- 彼は一人で物事を引き受ける準備は出来ているさ。
どうでしょうか? “take on …” 1つだけでも表現の幅が凄く広がりますね!
なお、“take” は動詞だけではなく「名詞」として使うこともでき、名詞ではまた随分違った意味になります。語順が “take on …” になると紛らわしいので、覚えておきましょう。
- What’s your take on this issue?
- この問題についてどう思いますか?
- Barack Obama’s take on immigration
- バラク・オバマの移民に対する見解
10. take back の意味~を元に戻す、~を撤回する
まず、ゴルフやテニスで使われる「テイクバック」という言葉は和製英語なので忘れてしまいましょう。
“take back” は言葉の通り「~を元に戻す」という意味を持っています。この連語は、何かをきっかけにして「あるべき状態」を失った感覚でよく使われます。コアイメージは「元に戻す」なので、日本語にするときのニュアンスとしては「~を取り戻す」とか「~を元のところに返す」と訳すことが多いです。
- He finally started to take back control of his life.
- 彼はようやく自分の人生の主導権を取り戻し始めた。
- If I could take back time, I would do things differently.
- もし時間を元に戻せたら、私は違うやり方をするだろう。
- Where did you get it? Take it back to where it was.
- それどこで拾ってきたの? 元の場所に戻してきなさい。
また、“take back” を失言などに使うことで「~を撤回する」の意味も持ちます。相手に「ちょっと悪いこと言ってしまったな」と謝りたいときに使うことができます。
- I take back what I said. I’m sorry.
- 言ったことを撤回するよ。ごめんね。
この “take back” をシーンに合わせて使えると、会話のバリエージョンがぐんと広がりそうですね。
11. take a break の意味ひと休みを取る、小休憩を取る
“take a break” もぜひ覚えたい表現です。疲れたときに “I’m tired.” と伝えても、相手が休みを取ってくれるかどうかは分かりません。ひと休み取りたいと伝えたいときは “take a break” を使いましょう。
- A:I’m so tired and thirsty. Can we take a break?
- 私もうヘトヘト、喉も渇いたわ。ちょっと休憩しない?
- B:OK, let’s take a little break then.
- オッケー。じゃあ、少し休みましょう。
なお「rest」も「休憩」を表す単語ですが、実は “take a rest” という言い方はしません。ネイティブが使う一般的な単語の組み合わせではないため、不自然な英語になってしまうからです。
それぞれ「break」と「rest」の単語を英語で正しく使うには、次のように言いましょう。
- take a break
- 少し休憩を取る
- get some rest
- しばらく休憩を取る
少し中断させる程度の休憩なら break を使い、しっかりめの休憩を取るなら rest を使うイメージです。
12. take your time の意味ごゆっくりどうぞ、焦らなくていいよ
“take your time” の意味はそのままですが、日常会話で非常によく使うので紹介します。実際に使う場面は「急かしても意味がない」「急かすと失敗しやすくなる」「急かすと危ない」といったときでしょうか。
日本語に訳すと「時間を取ってね」ということですが、シチュエーションによって「ごゆっくりどうぞ」や「焦らなくていいよ」などのニュアンスになります。
- A:Oh wait I change the settings.
- あぁ待って、設定を変えるわ。
- B:Sure. Take your time.
- はい。ごゆっくりどうぞ。
- A:Where are you now?
- 今どこにいるの?
- B:I’m almost there.
- もうすぐ着くよ。
- A:OK, take your time.
- オッケー、ゆっくりでいいよ。
この “take your time” の “take” はコアイメージの意味さえ掴めていれば、特に何も難しくないと思います。ぜひ会話の中で使いこなしてみてくださいね。
《take》を使った表現12選まとめ
今回は動詞「take」の基本的な意味(コアイメージ)と便利な表現を12パターンご紹介しました。最後に、12パターンの表現の使い方をおさらいしておきましょう。
- take away …
- ~を持ち帰る、持って離れる
- take up …
- ~を取り上げる、始める etc.
- take it easy
- 楽に取ろう、落ち着いて
- take care of …
- ~の世話をする、面倒を見る etc.
- take a look
- ~を一見する、ちょっと見る
- take over
- ~を引き継ぐ、代わりに引き受ける
- take place
- ~が起こる、催される
- take off
- ~を取り外す、脱ぐ / 離陸する etc.
- take on
- ~を得る、雇う、大げさに取る etc.
- take back
- ~を元に戻す、撤回する
- take a break
- ひと休みを取る、小休憩を取る
- take your time
- ごゆっくりどうぞ、焦らないで
動詞「take」は基本の単語ですが、これら12パターンの英語表現を「応用の基本」として理解できれば、会話表現の幅がぐっと広がります。英会話は「あまり使うことのない英単語」を暗記するよりも、よく使う単語をスラスラと使えるように慣れ親しむことの方が大切です。これで英会話の勉強時間を短縮できますよ。
今回の記事もぜひ役に立てていただき、英会話力をアップさせてくださいね!