今回の記事では mention の使い方を解説します。mention はビジネスシーンやプレゼンテーションにて良く使われる動詞ですが、文法的に間違って使われやすい動詞でもあります。そんな mention の単語を正しく使うためのポイントをまとめましたので、フォーマルなシーンでも自信を持って使えるようになりましょう。
記事の後半では、mention を含む重要会話フレーズもご紹介しています。前半で mention の意味と使い方をチェックしたら、様々な場面で使えるこれらの便利フレーズもぜひ覚えてくださいね!
mentionの使い方3つのポイント
前提として、mention の単語は「動詞」または「名詞」として使えることを確認しましょう。動詞と名詞では使い方が異なりますから、文法で気をつけることも変わってきます。それでは、実際に英語の例文を見ながら mention の使い方3つのポイントを確認していきましょう。
1.動詞での “mention” の使い方
動詞で使う mention は「(話題や人物などについて)軽く触れる・簡単に述べる・言及する」という意味で、目的語を伴う他動詞です。つまり、前提として自動詞では使えないので注意しましょう。
例えば「~について少し述べる」という日本語を英語に翻訳しようとすると「~について」の意味で about を入れたくなります。ですが、実はこれが良くある間違いなんです。他動詞である mention を正しく使うには、目的語を mention の直後に置くのが文法の基本となります。
× 誤った用法 mention about …
- She mentioned about her family in the job interview.
- → 正しくは mentioned her family とする。
- No one mentions about it.
- → 正しくは mentions it とする。
○ 正しい mention の使い方
- She mentioned her family in the job interview.
- 彼女は就職面接で彼女の家族について少し述べた。
- No one mentions it.
- 誰もその話には触れない。
★ 語順が変わったときの目的語の位置
他動詞である mention の目的語は基本的に直後に来ると説明しましたが、その語順が変わることもあります。例えば、述べている相手を明らかにするために “to” を直後に使うパターンがあります。
- He mentioned to the boss that the new products might have some defects.
- 彼は上司にその新しい製品にはいくつかの欠陥があるかもしれないと述べた。
上の例文では、本来 “He mentioned …” の後ろに来るはずの目的格は「that 節の部分」になります。では、1つ問題を出してみましょう。次の例文での mention の目的格は何でしょう?
- I’m not sure if I understood the last thing you mentioned about the new method.
- その新しい方法について最後におっしゃったことを理解できているか自信がないです。
答えは “the last thing (about the new method)” です。mention のすぐ後ろに about が続いているので「あれ?」と思われたかもしれませんが、これは目的語の語順が入れ替わっているだけなんですね。
★ mention の日本語訳について
動詞の mention は「名前を挙げる」のように訳する場合もあり、以下のような状況で使われます。
- The president mentioned some names for the next presidential candidates.
- その社長は次期社長候補として何人かの名前を挙げた。
★ 動詞 mention の活用形と活用頻度
mention を動詞として使う場合、過去形の mentioned で使うことが最も多いです。疑問形の文で使うときは原形の mention を使うことになりますが、意味の性質上から「過去形」で使う場面が多くなります。
- mentioned …
- Did [someone] mention …
単語の理解を深めるために、他の活用形も見ておきましょう。
- have mentioned …
- … need to be mentioned
- … will be mentioned
- will mention …
- mentioning …
- to mention …
- mentions …
現在完了形 (Present perfect)、受動態 (Passive voice) でよく使う「過去分詞形」は mentioned の綴りです。もちろん、未来形、現在進行形、to 不定詞、三単現 (三人称単数現在形) なども、それぞれ使う場面はあります。色々な活用形の mention を見慣れておくと良いでしょう。
2.名詞での “mention” の使い方
名詞として mention を使うときは「言及」という意味になり、文面で使う場合は「記載・陳述」という意味で使われます。品詞が動詞から名詞に変わっても、基本的な意味は変わっていませんね。
ここで確認していただきたいのが、名詞のときは “no mention about” や “lots of mentions about” という形を取り、前置詞の about が普通に使えることです。日本語では「~についての言及・記載・陳述」ですね。
- In her speech, there was no mention about global warming.
- 彼女のスピーチの中に、地球温暖化についての言及はなかった。
★ 名詞では冠詞や語尾の変化に注意
名詞は「単数形」か「複数形」か意識して形を変える必要がありますので、その点にも注目しましょう。
- This contract doesn’t make any mention about it.
- この契約書はそれについての陳述をしていない。
- There were many mentions of this event on Twitter.
- このイベントについて多くの言及がツイッターであった。
最近は、ツイッターなどで他のユーザーについて「メンション」するというように、カタカナ語でも使われるようになりました。実際に英語ではどのように使われているのか気になりますよね? 次に引用した英文は、mention が名詞としても動詞としても使われている良い例です。
Remember, to dramatically increase Twitter mentions and @replies, you should mention users and start conversations on a regular basis as well as acknowledge those who engage with your brand.
How to Effectively Use Twitter Mentions and @Replies for Marketing
3.mentionを使った便利フレーズ
ここでは mention を使った重要フレーズをご紹介しましょう。丸暗記して使えるので、ぜひこの機会に覚えてください! ビジネスシーンはもちろん、日常会話でとても便利に使うことができますよ。
★ as mentioned
- As mentioned (earlier, previously etc.), …
- (さきほど/前に etc.)言及されたように、~
既に述べたことを改めて持ち出すときに使う鉄板フレーズです。前に話に出したことを掘り下げたいときや、今の話題の原因や根拠となることを思い出させたいとき、話の流れをスムーズにできますよ。
- As mentioned earlier, we are planning to organize a workshop.
- 前述のように、私たちはワークショップの開催を計画中です。
プレゼンや会議などビジネスライクなシーンで使われることが多く、論文や契約書などかっちりした文書でも良く使われますが、日常会話でも使えますよ。なお、誰が言及したか明確にしたいときは “as I mentioned” や “as Tanaka san mentioned” などとしましょう。
- As she mentioned, there are some exceptions.
- 彼女が言ったように、いくつかの例外はあります。
★ thank you for mentioning
- thank you for mentioning …
- ~について触れて下さってありがとうございます
このフレーズは、発言者がある話題に触れてくれたことに感謝を述べるときに使います。ビジネスシーンでは会議やスモールトークなどで使う機会が多いです。
- Thank you for mentioning that, Mr. Parker. Now let me talk about it further.
- それについて触れて下さりありがとうございます、パーカーさん。では私により詳しく説明させてください。
日常生活で使う場合には「その話をしてくれてありがとう、おかげで忘れてたことを思い出した!」といった使い方もできますよ。
- Ah, thank you for mentioning that. I forgot about it!
- あ、その話出してくれてありがとう。忘れてたよ!
★ don’t mention it
- Don’t mention it.
- お礼には及びません。
直訳すると「それについては言及しないでください」という意味ですが、何かのお礼を言われたときの返しとして良く使われます。ニュアンスとしては「いえいえ、当然のことをしたまでです」といった感じですね。
- Thank you for helping me earlier.
- さっきは手伝ってくれてありがとう。
- Oh, don’t mention it.
- あら、いえいえ。
★ (not) worth mentioning
- not worth mentioning
- 言及する価値がない/言うに及ばない
- worth mentioning
- 言及する価値がある/言い甲斐がある
動詞の mention には「軽く触れる・簡単に述べる」というニュアンスがあるので、その価値があるかどうかを言い表すフレーズ “not worth mentioning” と “worth mentioning” の組み合わせは便利で良く使われます。
- I made some minor changes not worth mentioning.
- いくつかの言うに及ばない小さな変更をしました。
- This unknown story is worth mentioning in any history class.
- この秘話はあらゆる歴史の授業で言及するだけの価値がある。
★ not to mention
- not to mention …
- ~ は言うまでもなく/ ~でさえも
こちらのフレーズは、使われ方次第で「真逆の意味」の日本語訳になるのが面白いポイントです。言葉通りの意味は “not to mention” ですから「言うまでもない」となるのですが、英語では irony(皮肉表現)があり、後ろに持ってくる内容によっては文の印象が全く違ったものになります。
- She traveled to many countries like Morocco, Bahamas, Greece, not to mention the U.S.
- 彼女はモロッコ、バハマ、ギリシャなどたくさんの国を旅行した、アメリカは言うまでもない。
- He bought a new sport car and a new motorbike, not to mention a luxurious house!
- 彼は新しいスポーツカーとオートバイを買った、そして豪華な家でさえも!
mention の使い方まとめ
今回は「mentionの使い方」を徹底解説いたしましたが、いかがでしたか?
おさらいをすると、mention は他動詞なので目的語の前に「~について」を意味する about が要らないことや、名詞で使うときにはツイッターの「メンション」のように可算名詞として扱うことなどをお話しました。この場合は no mention about のように後ろに前置詞の about が入ることもあります。
間違えやすいポイントはしっかり復習して、ぜひ自信を持って使えるようにしてくださいね。
そして、mention を使った便利フレーズとしては 「As mentioned, …」 や 「Thank you for mentioning …」 などもご紹介いたしました。これらは日常会話・ビジネスシーンの両方で活躍してくれますので、ぜひ覚えて使ってみていただきたいと思います。