どうやって小学生に英語の文法を理解させたか?その意外な方法とは?

小学生に英語を教えるとき、親は(どんな勉強法を使えば良いの?)と教え方を選ぶのに苦労しますよね。

前回の記事 「突然の海外移住!小学生にうまく英語を勉強させる方法の秘訣は?」 では、英語力ゼロの息子たちを現地のインターナショナル・スクールに入れるため、急遽、家庭で英語学習を開始したところまでお話しました。アルファベットの理解と絵本での英語の読み取りまでを何とかクリアし、次の段階へ進みます。

ここで前回のおさらいをすると、私は子供たちが効率良く英語を学べるように「音読」から始めました。音読なら、英語の読み方、意味、リズム、文の作りを同時に学べると考えたからです。今回は、そんな中で、私が子供たちに「どうやって英文法を理解させていったか」についてお伝えしたいと思います。

音読しながら単語の意味を覚えさせる

まず私は音読と同時に単語の意味を教えました。ポイントは、出来るだけ英語の並び順通りに訳すことです。これによって、日本語とは根本的に構造が異なる英語のつくりが感覚で覚えられます。

Four pips inside the orange.
(4つの、タネが、中に、オレンジの)
A house has a door and windows.
(家に、あります、ドアと、窓が)

これをご覧になっていただくと分かると思いますが、私は「文法を教えていた」というわけではありません。しかし、たくさんの文を見ながら音読を繰り返していると、単語と単語の繋がり方から自然と法則を見出して文法の基本までをも理解してくれるのです。

ついに来た英文法の質問

段々と音読の文章が高度になって来たある日、息子たちから英文法についての質問が出ました。

「文章の間にある that や which はどういう意味なの?」

そう、関係代名詞のことです。どう説明しようか・・・私が考え付いたキーワードは『どういう?』です。

The fact that she was not a natural-born pilot.
(事実、どういう?、彼女が生まれついてのパイロットではなかったということ)
Tick to show which of those statements are true.
(印を付けましょう、どういう?、言ってることが正しいものに)
Henry executed men who opposed him.
(ヘンリーは、処刑しました、どういう?、反対した人を、彼に)
I came to the place where the Monster was kept.
(私は、来ました、場所に、どういう?、モンスターが、キープされているところに)

日本語として多少気になる部分はありますが、そこは目をつぶって下さい。要は、that や which 以降には前の部分の説明があると分からせることが大事です。

この『どういう?』のキーワードを使うようになってからは、少し長めの文章でも、スラスラと音読ができるようになってきました。私の息子たちにとっては、1つの大きなターニングポイントになった気がします。

そして、完了形

have/has/had に動詞が組み合わさった完了形も、音読で疑問に上がってきます。これの説明はどう凌いだかというと、『~しちゃった』です。

He had lost his watch.
(彼は、失くしちゃった、腕時計を)
A person who has done something that required courage and determination.
(人、どういう人?、しちゃった人、何かを、どういう何か?、必要な、勇気と決意が)

ここで重視したのは、have が入ることによってニュアンスが変わるという示唆を伝えることです。つまり、正しい和訳で違いを分からせるということはしていません。ただ、一見すると中途半端とも取れるこのような教え方を私がしたのには、きちんとした狙いがありました。

その狙いとは、指導の隙間は「生きた英語」で埋める方が効率が良い ということです。

私は、英語環境にどっぷりと浸かって生きた英語にたくさん触れることで「指導の隙間」は自然と埋められ、英語の感覚で是正されていくことを想定していました。そのためのアソビ部分を残すためにも、あえて和訳でキッチリと違いを教えるやり方はしなかったのです。

おかげで、私の子供たちは「深く日本語で考えすぎてしまう癖」が付かず、次第に英語を「英語のまま」理解できるようになっていきました。ですから、小学生にはあまりガチガチに文法を教えるよりも、英語の音読をしながら段々と英語の文章に慣れさせていく方が良いと言えるでしょう。

今回のまとめ

英語力ゼロからバイリンガルに至る道、いかがでしたでしょうか。日本の英語教育では、受験対策などのためついつい口うるさく英文法の説明をしてしまいがちですが、

  • that や which は『どういう?』の感覚
  • have/has/had + 完了形動詞 は『しちゃった』の感覚

のようにざっくりと教えておき、あとの「指導の隙間」はオンライン上の動画コンテンツや学校の授業などでより多くの英語に触れさせることで埋めることが出来ます。かなり大ざっぱな指導だと驚かれた方もいるかもしれませんが、小学生の子供たちに英語を「感覚的に理解させる」ためのヒントになれば幸いです。

それでは、次回の記事もお楽しみに!