万能ツールや万能な人など『万能』は英語で Versatile?単語の使い分け方

「万能・万能な」を意味する英語に “versatile” という単語がありますが、皆さんはこの「万能・万能な」を説明するとき、どのような英語で表現しますか? 実は、英語で「万能・万能な」や「万能の」と表現したい場合、会話の場面や形容する内容によって異なる英単語を使い分ける必要があります。

今回は “versatile” を含めた「万能」を意味する様々な英単語と英語フレーズの使い方、表現テクニックなど多くの例文を交えながらご紹介していきますので、ぜひ参考にしてくださいね!

「万能・万能な」を表す英単語

本日ご紹介する「万能・万能な」という英単語は、場面や用途によって使い分ける必要があると書きました。早速ですが、その英単語をひと通りご紹介いたしましょう。主に以下のものが当てはまります。

  1. versatile
  2. all-purpose
  3. all-round
  4. universal

もしかすると、皆さんもご存知だった英単語が多いかもしれませんね。これらの単語は全て「万能・万能な」という意味の単語ですが、ニュアンスや用途は少しずつ異なります。

ここからは1つ1つの使い方を単語別に紹介していきますので、どの単語を使えば良いか悩まれている方は、早速それぞれの特徴を確認していきましょう。記事後半では、単語ではなくフレーズで「万能さ」を表現する方法 についても解説していますので、ぜひそちらも合わせてチェックしてください。

(1) versatile は最も使いやすい

最初にご紹介するのは、英検準一級英単語の “versatile” です。

こちらの単語は「万能な」という意味の他にも「多才な」「多方面にわたる」「用途の広い」「融通の効く」「多用途に使える」など、様々な意味で用いられる英単語です。以下、いくつかの例文を挙げます。

Cotton is a very versatile fabric.
綿はとても万能な生地である。
She is a versatile employee, who can handle any kind of job.
彼女はどんな仕事でも対応することができる多才(万能)な従業員だ。

英語から日本語へ訳すときも、前後の流れに合わせながら訳語を変えるようにしましょう。「万能な」という意味も強いですが、ニュアンスとしては「多才な」「用途の広い」という意味合いで用いられる単語です。

(2) all-purpose は物に使う

続いての単語は “all-purpose” です。“purpose” という単語には「目的」や「意図」という意味があるように、ニュアンスとしては「多目的の・多目的な」といった意味の万能さを表現します。

All-purpose flour
小麦粉(中力粉と強力粉と違い”万能”なことが特徴)
All-purpose cream
万能クリーム(多目的な用途で使えるクリーム)
Soy sauce is one of the all-purpose seasonings.
醤油は万能調味料のひとつだ。

この “All-purpose” は、人(ヒト)ではなく物(モノ)に対してよく用いられることがポイントです。他にも以下のような例があります。

All-purpose cleaner
万能洗剤
All-purpose knife
万能ナイフ
All-purpose bag
万能バッグ
All-purpose spice mix
万能スパイス

(3) all-round は人に使う

3つ目にご紹介するのは “all-round” という単語です。アメリカでは “all-around” と言われるようですが、意味自体は全く同じです。さきほどの “all-porpose” と形が良く似ていますが、こちらの単語は人(ヒト)やその能力を形容する場合に用いられるのが特徴です。

Ichiro is an all-round baseball-player
イチローは万能な野球選手です。
This job position requires an all-round knowledge.
この仕事のポジションには広範囲(万能)な知識が求められます。

上記の例文のように、「スポーツ関連」や「限られた分野だけでなく、広い範囲の見識を有す人」を意味する場合に用いましょう。余談ですが、“all-rounder” という言い方もあります。

(4) universal の使い方

4つ目にご紹介する英単語は “universal” です。こちらも「万能な」という意味で使うことができます。

カタカナ語にもなっている「ユニバーサルデザイン」をイメージすることで「万人にとっての → 万能な」と覚えやすくなります。ただし、“universal” は「万人共通の」「一般的な」「万国(全世界)の」など色々な意味で使われるので、前後の単語や形容する名詞によってニュアンスや日本語訳も少しずつ変わります。

English is universal language.
英語は万国共通語(万能な言語)だ。
Albert Einstein is a universal genius.
アルバート・アインシュタインは万能な天才だ。

almighty の意味には注意

皆さんも「万能な」という意味で使われる「オールマイティー」というカタカナ語を一度は耳にされたことがあるのではないでしょうか? 元々は英語の “almighty” から来ていますので、英語でも「万能な」の意味で使いたくなってしまいますよね。でも、実はこれ和製英語なんです!

実際の英語ではむしろ「全能な」の意味になるので注意しましょう。例えばですが、

The almighty God
※全能の神

のように、人間(ヒト)ではなく「神の全能さ」を表すような形容詞になります。スポーツ選手など「人」に対して「万能な」と言いたいときは、日本語でも「オールラウンダー」を使うようにしていきましょう。

「万能・万能な」の英語フレーズ

ここまでに4つの「万能・万能な」という英単語をご紹介しましたが、単語だけで考えず、もう少しくだけた英語フレーズで言い表すこともできます。例えば、日本語でも「何にでも便利・何にでも使える」という風に別の言い方で同じ意味を表現できますよね。でも、実はこれって英語でも同じなんです。

そこで、ここでは「万能・万能な」を意味する英語フレーズをいくつかご紹介していきます。

(1) go with everything

白のシャツは「万能」を英語で言い表すには?

White t-shirt goes well with everything.
白いTシャツは何にでも良く合う。

go with something” は「〇〇に合う」という表現ですが、これを “with everything” と続けることで、「何にでも合う(万能である)」と言い表すことができます。

物(モノ)の中でも、食べ物やファッションで特に良く使われる表現です。

(2) for many purposes

ハチミツは万能薬で何にでも使える!?

Honey can be used for many purposes.
はちみつは多くの用途に使うことができる。

こちらの “for many purposes (多くの用途に)” というフレーズも「万能」を表せる表現ですね。あるいは、少し言い方を変えて “for any purpose” とすると、さらに「万能」の意味合いが強くなります。

いずれも「万能・万能な」を意味する単語 “all-purpose” を少しくだいた表現ですね。

(3) not only …, but also …

万能クリーム=多機能で何にでも使えるクリーム

This cream is very multi-use. It can be used not only as a moisturizer, but also as a hand cream and a lip balm!
このクリームはとてもマルチユースなの。保湿クリームとして使えるだけじゃなくって、ハンドクリームやリップクリームとしても使えるのよ!

「万能」という日本語訳はしっくりこなくなりますが、色々なことに使えることは、これでも伝えられます。

※単語ではなくフレーズで伝える意味

英会話では、パッと頭に浮かんだ単語だけを組み合わせて伝えたいことを言い表せることも大切です。万能なという単語を知らなくても「何にでも使える」「こんなことにも使える」などと別の言い方で伝えられれば、言葉を詰まらせたり、何も言えなかったりという事態は防げるでしょう。

日本語でも英語でも、普段から「別の言い方ができないかどうか考える癖」をつけておくと良いですよ。

また、会話においてはこういった少しくだけた表現の方がニュアンスを伝えやすいメリットもありますので、場面によっては敢えてフレーズで言い回す方が良い場合もあります。

「万能・万能な」の英語表現まとめ

場面や用途によって使い分ける必要がある「万能・万能な」の表現、最後におさらいをしておきましょう。

versatile” は1つの単語で「万能」の意味を表すのに適した万能の単語です。他の表現では、物(モノ)に使う “all-purpose”、人(ヒト)に使う “all-round”、さらに “universal” の単語をご紹介しました。中には “almighty” を「万能・万能な」と思われていた方もいらっしゃると思いますが、実際には「全能」の意味になるので注意が必要でしたね。

また、“go with everything”、“for any purpose”、“not only…, but also…” などフレーズで伝える方法もご紹介しました。以上、英語で「万能・万能な」と言いたいときの参考にぜひご活用ください!